「一番になりなさい」という呪い
ワークライフバランス以外に人間の幸福を阻害するもう一つの大切な要素を忘れてました。
それは
「出世競争」
です。これも銀行にいたたった1年半の間に痛感。行員の若い先輩は同期がもう代理になっているのに自分はまだ「代理」になれないといって悲しみ、代理は代理で「何で俺はまだ代理なんだ」といって悲しみ、もうすぐ定年の次長は次長で「おれは次長で終わってしまった。でもあいつが支店長までいったな。それが悔しい」といって飲みの席で僕に愚痴をこぼし、例の大学の先輩の支店長は行員の役職名簿などを見て「ああ、こんなの見たくもない!いやになっちゃうよ!」と言って愚痴をこぼしていました。
組織に入った以上、出世競争から逃れることはできません。そして上には上がいる。一番になること以外、救いはない。
なんか、「カネ」のところで考えた時の、「差異」のでっち上げと同じですね。神は憐れみ深く、わたしたちすべてに生きるのに十分な恵みを垂れてくださっているのに、欲望の悪魔が人間を満足させないように、「足るを知らない」ように、人間同士の間に無理やり「差異」をでっち上げ、「勝ち組」と「負け組」を再生産し続ける。科学技術がいくら進んでも、そのおかげで人類が物質的にいくら豊かになっても、自分が誰かより上か下かといって、自分を相対的にしか評価できないなら、心の平安はいつまでも得られず、幸福は逃げ水のように捉えられない。
「一番になりなさい」
それって励ましてるつもりですか。
人間を永遠に不満の状態にさせておくための、欲望の悪魔の呪いではないですか。
そして、その不満を解消させるためには出世しなければならない。出世するためには売上げを上げなければならない。こうして人間を出世競争に駆り立ててお互いに競わせながら利潤追求に邁進させ、その結果、「お金」は増える。
やっぱり黒幕は「お金」だったのか。お金の野郎が人間を支配し、操る巧妙な手段の一つが、出世競争だったのです。
お金とは「富」、出世とは「名声」ですね。
「富と名声」
仏の教えがまず捨てろと言っていたものです。ギリシャの哲学者だって言ってたんじゃないですか。そしてほかの宗教だって言っているはずです。
そういえば今の僕の仕事、
「世間体が悪くてねえ」
ってぼやきましたが、世間体って「名声」のことですね。収入にしたって「これくらいでもういっか」っていうのは「富」のこと。ワークライフバランスを追求してたら、いつのまにか「富」と「名声」を捨ててました。でも「富」はありませんが「必要十分なもの」はありますよ。「富」とは「必要以上に所有すること」ですね。ということは僕も一種の出家状態ですかね。
「一番になりなさい」は呪いだといいましたが僕のワークライフバランスは一番な気がするけど。でも「富と名声」は捨てた。
なんか究極の選択みたいですね。
あなたはどっちを選びます?
「富と名声」か「ワークライフバランス」
どっちも選べればいいんですけどねえ。ここに信仰ってやつが手に入ると、前者は自然と消えて後者一択になると思います。でも、お金が支配する今の世の中、ほぼ前者一択ですよね。そして、「富と名声」はあくまでも相対的なものなので終わりがない。ドツボにはまりますよ。敵の罠だと思うんですけど。
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