真の自国ファースト
自分の幸福が他者の幸福、全体の幸福と不可分であることは、国と国の関係にも当てはまります。
今はやりの「自国ファースト」ですが、どこの国の指導者が
「私は自国の利益より他国の利益を優先します」
などと言うでしょうか。歴史上、そんなことを言った指導者を僕は知りません。どこの国だって自国の利益を最優先に考えます。ですから、「自国ファースト」というマニフェストは何も言ってないに等しい。
問題なのは、自国に利益をもたらすそのやり方なのです。
目先の利益ばかりに目を奪われて、なりふりかまわずやりたいように振舞って、他国の、そして国際社会の、ひいては人類の利益を損なう行動に出れば、その国の指導者は顰蹙を買い、信頼されません。
「あの指導者はかなりやばい」
となり、それはそのまま
「あの国はかなりやばい」
となり、ほかの国が離れていってしまいます。これまでの味方も警戒して、その国とは距離を置き始めます。そして、他国に対して武力を用いて利益を得ようとすれば、その国の恨みを買います。そしてその恨みは世代を超えて永遠に引き継がれます。世界から総スカンを食らった状態で、どうして自国の利益が得られるでしょうか。一時的には利益を得られても、長期的には損害を被るのは明らかです。結局、前にも見たように、「短期的利益を追求して真の利益を失う」パターンではないですか。
本当に自国に利益をもたらしたければ、他国の繁栄、人類全体の繁栄が必要なのです。現在は経済、社会、情報、人の流れが国を超えて結びついています。貿易をするにも、相手国が貧しければ、こちらが売りたい商品も買ってもらえないではないですか。また、相手が貧しかったら、こちらがほしい商品を輸出する余力もないかもしれないではないですか。戦争などしていたら、どちらの国民も幸福なはずはありません。儲けているのは軍需産業だけ。この軍需産業がその儲けた金で巨額の政治献金をして候補者を操り、政権を操っているとしたら恐ろしい。軍需産業が栄えるには平和になったら困る。だから仮想敵国を作る必要がある。ソ連崩壊後にNATOとロシアが手を結ぶチャンスもあったのに、アメリカの軍需産業が仮想敵国を作るためにそれを妨害してロシアを孤立させた。だから今ロシアとウクライナで戦争になっている。その裏で一番笑っているのはアメリカの軍需産業。これが現代のアメリカだというのが本当だとしたら恐ろしいことですが、ちょっと横道にそれすぎました。それは別のテーマですね。
とにかく、ここで言いたいのはまたしても
「わたしたちはひとつ」
であるということです。自国の幸福は、他国の幸福、ひいては人類全体の幸福と一体であるという認識が必要なのです。自分だけが幸福で、周りが不幸な状態は必ず抵抗と反撃を生みます。そして、そのような国が最後には破滅するのは歴史が証明しています。結局、自国の利益を追求するなら、他国の利益、そして人類全体の利益を同時に追求せざるを得ないということです。
これが真の自国ファーストではないでしょうか。
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